ISSYA

赤は、情熱の色、血の色、罪の色

ある人が、赤は情熱の色だと言っていた。ある人というのは、まぁ、僕の愛していた女性なんだけど。昔の話さ。

彼女は赤が好きで、着る服はいつもどこかに赤をしのばせていた。帽子、靴、爪、ストール、上着、ワンピースなど、挙げたらきりがない。

「いつも赤を身につけていると、気分が高揚してくるの。なんでもできそうな気がしてくるの」

彼女は、時々そんなことを興奮気味に語った。僕は、そんな彼女が好きだった。彼女は、そんな僕の兄を、好きだった。

ある日、彼女は僕に言った。

「ねぇ、あなたの血を分けてくださらない?」

愛する彼女のためならと、僕は二つ返事で引き受けた。何のために必要なのかさえ聞く事もせず、毎日、腕に赤い注射針の跡が増えていくのを眺めていた。筒に、真っ赤な僕の血が溜まっていくのが快感で、確かに赤は情熱の色だな、と満足していた。

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