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- 2023年10月1日
- 『死神のとおりみち』再録しました
「生きる」と「死ぬ」が両立する人はいる。
死んだように生きるしかない人。
死ぬときに初めて生きた心地になる人。
わたしはどちらだろう。
あなたはどちらだろう。
どちらでもあるし、どちらでもない。
だってどちらも同じだから。
子どもは家族を選べないから
拠点の旗を立てられない。
言葉を持たぬ魂が
何かを伝えようとしている。
耳をすます者はいるか。
目をこらす者はいるか。
どこにも誰もいないことを悟った魂は
再び言葉のない世界に閉じこもる。
まだ、
自分のスタイルというものがないから、
なにか強いものに出会うと、
炎に包まれるように隔絶されて、
自分のありかが熱でとけて
わからなくなる。
かみさまは、
にんげんがつくったものだから、
ねがいをかなえることなんて
できやしないのだ。
もしほんとうにできるなら、
にんげんがとっくにかなえてる。
にんげんにできないことは、
かみさまにはできないのだ。
あかんぼうにもどってあいされることも、
あいするあのひとをいきかえらせることも。