小学生の頃、好きな男の子がいました。話しかける勇気がなくて、いつも遠くから見ているだけでした。私には、親友と呼べるほど仲良しだった女の子が二人いましたが、どちらも彼のことが好きだったようです。 ある日、どちらかの子が、どContinue reading “共犯”
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赤は、情熱の色、血の色、罪の色
ある人が、赤は情熱の色だと言っていた。ある人というのは、まぁ、僕の愛していた女性なんだけど。昔の話さ。 彼女は赤が好きで、着る服はいつもどこかに赤をしのばせていた。帽子、靴、爪、ストール、上着、ワンピースなど、挙げたらきContinue reading “赤は、情熱の色、血の色、罪の色”
真ッッッッッッ黒
目が覚めると、ベッドの脇に彼女が立っていた。彼女の家のベッドを占領して、いつの間にか寝てしまったらしい。彼女は深刻な顔でこちらを見ていて、あぁ、こりゃ怒られるなと思った。 「話があるの」 ——はい。 「あたしね、最近、悩Continue reading “真ッッッッッッ黒”
親愛なるきみへ
最近、調子はどう? あまり具合が良くないみたいだけど。 寂しいからといって、周りの人たちを責めてはだめだ。 周りは、きみが望むようには動いてはくれないよ。 それは、きみが嫌われているからではなくて、 みんな自分のことで忙Continue reading “親愛なるきみへ”
ケース0:ツギハギの少女A
全身がツギハギの少女がいた。皮膚ではなく、身体そのものがツギハギなのである。指のサイズは一本一本関節ごとにばらばらで、男性のものもあれば女性のものもある。皮膚の色も様々で、少女をカラフルに彩っている。少女曰く、「世界中のContinue reading “ケース0:ツギハギの少女A”
飽和
こうして、ちょっとした文章を書いていると、すぐに飽きてしまう。今、この文字を書いている瞬間も、この話を書くことに飽きている。とにかく飽きっぽい。読書をしていてもすぐに飽きるし、散歩をしていても飽きる。食事も飽きるし、会話Continue reading “飽和”
忘却
君が死ぬのは構わない。だけど、僕を忘れるのだけは許さない。君が死ねば、君は僕を忘れるだろう。僕が死ねば、君は僕を忘れるだろう。それは絶対に許さない。君が死ぬのは構わない。だけど、僕を忘れるのだけは許さない。
闇を照らす光は、希望か、絶望か
何故かは分からないが、真っ暗闇の中で、首から下が地中に埋まっていて、身動きがとれない。最初は、足首までだった。だから、このぐらい平気だと軽く見ていたのが間違いだった。前に進まなければともがいていたら、いつのまにか、下半身Continue reading “闇を照らす光は、希望か、絶望か”
死後の世界
今、生きているこの世界は、実は死後の世界ではないかと考えることがある。 そう考えると、先に記した死の想像は、想像ではなく実際に死んだときの光景なのではないかと思えてくる。
趣味 死ぬこと
死ぬ時は、病死や事故死ではなく、十分生きた上で安らかに死にたい。誰もが願うことだろう。 想像するだけなら、病死も事故死も自殺もできる。 病死の時は、愛する者に向けてビデオレターを撮影しているところを想像する。死を覚悟するContinue reading “趣味 死ぬこと”