ISSYA

6.スイの通夜には、クラス全員が参加した。

スイの通夜には、クラス全員が参加した。泣いているのはマキノだけで、他の生徒たちはみんな、唇を固く結んで俯いている。
ヤジタも、涙は出なかった。みんな、泣く資格などない——。
そこに、マキノが来た。
「スイのこと好きだったのに、泣かないなんて、冷たいね」
マキノは、真っ赤に泣き腫らした目を向けてくる。
「泣きたくないわけじゃない。俺だって悲しいよ」
本心だった。
「他の子から聞いたんだけど、あたしが休んだ日に、あんた、スイの前で酷いこと言ったんだってね」
ヤジタは何も言えなかった。いつかマキノの耳に入るだろうと思っていたが、最悪のタイミングだ。
「あんたが、男子にスイの悪口をやめるように言った時、ちょっと見直したんだよ。でも、あんたを信じたあたしが馬鹿だった。あんたも、他の奴と同じだった」
マキノは直接口にこそ出さなかったが、「スイが死んだのは、あんたのせいだ」と言って、女子の群れの中に戻って行った。
式場で、親族と思われる女性が二人、ひそひそと立ち話をしていた。たまたまそばにいたヤジタの耳に、その内容が入ってきた。
スイの死亡状況の話だった。
場所は自宅の浴室だった。仰向けの状態で、上半身が水の張られた浴槽内に沈んでいたらしい。手には携帯電話を握っていて、浴槽内には、飼っていた熱帯魚が泳いでいたという。その状況の異常さに、二人は嫌悪感を示しているようだったが、なんとなく、ヤジタには腑に落ちるものがあった。

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