ISSYA

3.ある日、ヤジタは男子に囲まれて漫画やテレビ番組の話題に興じていたが、

ある日、ヤジタは男子に囲まれて漫画やテレビ番組の話題に興じていたが、そのうち「便所行く」と言って廊下に出た。
その瞬間、背後から大きな声が聞こえた。
「ヤジタくん!」
ヤジタは体をこわばらせた。振り返ると、スイが歩いて来るのが見えた。
みんなの視線が、スイとヤジタに集まる。
「今、ちょっと大丈夫?」
スイが笑いかけてくる。
ヤジタは、「無理」と言って便所へ走り去った。
声が裏返った。
スイに不審に思われただろうか。
「なぁ、ヤジタ。お前、今、スイに呼ばれてなかった? 廊下でうろうろしてお前のこと探してたっぽいけど」
後から便所に入って来た男子に訊かれ、ヤジタはとぼけた。
「いや、知らね。気のせいだろ」
「硬派なヤジタがねぇ。詳しく聞かせろよ」

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